癌
父は肺癌で亡くなった。
血痰が出たから心配して病院に行った頃は
バリバリに仕事して
孫達にメロメロで
ただの元気な孫想いの
おじいちゃんだった。
病院で結果を一緒に聞いた。
「こんなに元気なのに、
え?ステージ4?
え?ステージ4って、、、
末期癌?
え?末期癌はステージ、、、5だっけ??
(・・;)
嘘でしょ?
末期癌?こんなに末期癌の人って
元気なの?」
って。
父は体力もあったし
気力もあった。
闘病は大変だろうけど
治る未来を信じていたのに
ガタガタっと
体調を崩して行った。
その崩れ方が
本当に悲しいほど
悔しいほど速くて、
こんなにエネルギーや気持ちや
持っている可能性全てをかけて
向かっても
そのスピードに追いつけず、
酷い無力感を
父の死後私は感じていた。
癌だとわかってから
たった2ヶ月後、
お医者さんに匙を投げられ
親族を集めて下さい。
今日明日が山ですって、
ドラマみたいな展開になった。
でも
言われたその現実を乗り越え、
まだ生きられると信じる先へ
その体で転院し、
そこから更に3ヶ月過ごせた。
食べたい物を大切に
少しずつ食べた。
行きたかったところへ
旅行に行った。
最期の日も突然だった。
ガクってまた体調を崩した。
早朝、
病院から呼び出された。
子ども達を連れて
病院へ急いだ。
ずっと寄り添い、
冷たくなっている体をさすり続けた。
夜になり
いよいよ酸素が少なくなって
回復も厳しいモニターを見て
私はすごい覚悟を自分の中でして
父の孫達を父のベッドの周りに集めて
みんなで色々
父を囲んで
話を始めた。
将来の夢、
父と一緒行った旅行の思い出、
父と過ごした日の思い出
父を囲んで
孫達が話し、
みんなで歌を歌ったりもした。
父はみんなに囲まれて
旅立った。
癌という病。
怖い病気、
苦しい病気、
そんなイメージだった。
父が亡くなり、
悲しかったけれど
時間を経て感じているのは
あんな最期を共に過ごせて
あんな風に
大切な想いを伝えられたり
思い出を語り合えたり
最後心残りだった
行きたい場所を
丁寧に訪れることができた。
そんなかけがえのない
気付きや時間をくれた
癌という病。
癌という病。
病は私達に
優しい時間をくれた。
こんな柔らかい気持ちで
癌という病を
今
振り返れる自分。
0コメント